相続税とは?
相続税とは、亡くなった方から相続や遺贈(遺言による財産の取得)によって財産を取得した場合に、その取得した財産などに対してかかる税金です。
亡くなった方を「被相続人」、財産を引き継ぐ方を「相続人」といいます。
相続税の申告が必要となる場合、原則として、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に、相続税の申告と納税を行う必要があります。
相続が発生すると、財産の確認、相続人の確定、遺産分割協議、相続税の計算・申告など、さまざまな手続きが必要になります。
当事務所では、相続が発生した際の手続きをスムーズに進めるためにも、事前に財産やご家族について整理しておくことをおすすめしています。
相続するのは「プラスの財産」だけではありません
相続では、預貯金や不動産、有価証券などのプラスの財産だけでなく、借入金などのマイナスの財産も原則として引き継ぐことになります。
相続財産を確認するときには、プラス・マイナスの両方を把握することが重要です。
【例1:被相続人の未払い税金】
被相続人に所得税、住民税、固定資産税などの未払いがある場合、原則として相続人がその納税義務を引き継ぎます。
これらの未払い税金については、一定の要件のもと、相続税を計算する際に債務として相続財産から控除することができます。
【例2:葬儀にかかった費用】
お通夜や告別式、火葬、埋葬など、通常の葬儀に伴って支払った一定の費用については、相続税の計算上、相続財産から控除することができます。
ただし、すべての費用が控除できるわけではありません。
たとえば、香典返しの費用、墓地・墓石の購入費用、初七日などの法要にかかった費用などは、原則として葬式費用として控除することができません。
【例3:銀行などからの借入金・未払金】
被相続人に住宅ローンや事業上の借入金、その他の未払金などが残っている場合、原則として相続人がその債務を引き継ぐことになります。
相続開始時点で存在し、被相続人が支払うべきことが確実な債務については、相続税の計算上、一定の要件のもと相続財産から控除できます。
借金などが多い場合には「相続放棄」という選択肢もあります。
プラスの財産よりも借入金などのマイナスの財産が多い場合には、「相続放棄」を検討することもできます。
相続放棄をする場合は、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」に家庭裁判所で手続きを行う必要があります。
相続財産の調査に時間がかかる場合もありますので、借入金などがある可能性があるときは、できるだけ早めに財産の確認を始めることが大切です。
実際に相続が起きたら、まず法定相続人を確認しましょう
相続が発生したら、まず「誰が相続人になるのか」を確認します。
配偶者、子、父母、兄弟姉妹など、家族構成によって法定相続人となる方が異なります。
遺産分割協議を行うためには、原則として相続人全員の参加が必要となるため、戸籍などを確認して法定相続人を確定することが重要です。
次に「相続税の基礎控除額」を確認しましょう
相続税には「基礎控除」があります。
相続財産等の課税価格の合計額が基礎控除額以下であれば、原則として相続税はかかりません。
現在の基礎控除額は、次の計算式で求めます。
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
たとえば、
法定相続人が1人の場合 → 3,600万円
法定相続人が2人の場合 → 4,200万円
法定相続人が3人の場合 → 4,800万円
となります。
まずは預貯金、不動産、有価証券、生命保険金などの財産を確認し、借入金などの債務や葬式費用などを考慮したうえで、相続税の申告が必要になるかどうかを確認します。
なお、相続税には「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」など、一定の要件を満たすことで税負担を大きく軽減できる制度があります。
これらの特例を利用することで相続税が0円になる場合でも、相続税の申告が必要となることがありますので注意が必要です。
相続税対策は早めの準備が大切です
相続税対策の代表的な方法のひとつが「生前贈与」です。
暦年課税による贈与では、贈与を受ける方1人につき年間110万円の基礎控除があります。
ただし、相続開始前に行われた贈与については、一定期間の贈与財産が相続税の課税価格に加算される制度があります。
2024年1月1日以後の贈与については、この加算対象期間が従来の3年間から段階的に7年間へ延長されています。
そのため、「毎年110万円ずつ贈与すれば相続税対策になる」と単純に判断するのではなく、年齢や財産額、家族構成などを考慮したうえで贈与方法を検討することが重要です。
「相続時精算課税制度」も使いやすくなりました
生前贈与には「相続時精算課税制度」という方法もあります。
原則として、60歳以上の父母・祖父母などから、18歳以上の子や孫などへの贈与について選択できる制度で、累計2,500万円までの特別控除があります。
さらに2024年1月1日以後の贈与からは、相続時精算課税制度にも年間110万円の基礎控除が設けられました。
この年間110万円以内の贈与については、原則として贈与税の申告が不要であり、将来相続が発生した際にも相続財産への加算対象となりません。
一方で、相続時精算課税制度は一度選択すると、原則として同じ贈与者について暦年課税へ戻すことができません。
そのため、暦年課税と相続時精算課税のどちらを利用するかについては、将来の相続まで考えたうえで判断することが大切です。
相続についてお悩みの方はお気軽にご相談ください
相続税は、単純に「財産がいくらあるか」だけで決まるものではありません。
不動産の評価、生命保険、過去の贈与、借入金、相続人の構成、遺産分割の方法などによって、相続税額は大きく変わることがあります。
また、生前贈与や相続時精算課税、小規模宅地等の特例など、どの制度を利用するのが有利なのかは、ご家族や財産の状況によって異なります。
「相続税がかかるのかわからない」
「今のうちに相続税対策をしておきたい」
「不動産が多く、相続税が心配」
「子どもや孫への生前贈与を考えている」
といったご相談も承っております。
相続が発生してから慌てることのないよう、早めに財産の状況を把握し、ご家族に合った相続対策を考えておくことをおすすめします。
